インドネシア飲食マーケット

インドネシア飲食の第一人者!竹谷大世氏にインタビュー【前編】

今回はダイセイグループの最高経営責任者である竹谷大世氏にインタビューさせていただきました。ダイセイグループは400人の従業員を抱え、飲食事業はじめ小売・ベンダー・不動産・物流を展開しています。15年以上インドネシアで飲食店経営をしてきた竹谷氏に、インドネシアを取り巻く飲食業界に関してお話を伺いました。

第二の祖国インドネシアでの挑戦

ー インドネシアで飲食店を経営されるようになった経緯を教えてください。

私は生まれがインドネシアで、いわばインドネシアは第二の祖国です。私は日本で高校を卒業してから板前をやっていました。その後インドネシアに戻ってきた時に、自分の持っている板前の技術をインドネシアの人々に伝えることで、感謝されるという経験をしました。自分にとって人に感謝されながら仕事をするということは大切なことで、自分がそれを実現できる方法が、第二の祖国であるインドネシアで飲食店を経営することでした。

ー 現在は何店舗の飲食店を経営されていますか。

現在は17店舗です。お店の種類としてはラーメン屋が一番多くなっています。店舗の数は少なくとも私が従業員の顔がわかる範囲内にとどめ、その範囲を越えて無理に出店することは避けています。

ダイセイグループが経営する『ラーメン38』はGandaria City、Kota Kasablankaなどモールにも出店

動き続けるインドネシア飲食業界

ー インドネシアにおける飲食業界の特徴や近年の動きを教えてください。

飲食業界では、インドネシアにはブランド化や話題作りをするのが上手い飲食店が多いです。インドネシアはムスリムの国として有名ですが、イスラム教に対応せずに、ビールとソーセージを売りにしているお店などもあります。こういったお店は、ムスリムではなく、お金を持っている華僑のコミュニティの人々を取り込んで売上を伸ばしています。また最近の若いインドネシア人はムスリムであっても、若い内はそれほど気にしていないという人もいます。そういった層を囲い込んで成功している飲食店もあります。こういったコミュニティの獲得はインドネシアの日本人社会では出来ないやり方です。

ー 日本食の業界単体ではどうなっているのでしょうか。

インドネシアにおける日本食業界で言うと、近年は日本人をターゲットにした日本食レストランの出店先がジャカルタの東にあるチカラン地域に移動しています。これはチカラン地域で工業地帯が発展しており、近年そこに日系企業が進出し、駐在する日本人が増えているためです。日本食も定番のメニューは限られているため、差別化が難しく、薄利多売、もしくは勝ち負けのハッキリした状態になってきています。

実はチカラン地域へ人が移っていた理由はもう一つあり、それはジャカルタ市内での渋滞です。昔は日本食と言えばジャカルタのブロックMと言われ、駐在員がチカラン地域に住んでいても接待などがあればブロックMに訪れるものでした。しかし近年インフラ整備に伴いジャカルタは渋滞がひどくなり、アクセスがしにくくなりました。その結果チカラン地域はチカラン地域で日本食レストランを開いていく動きができました。今後インフラ整備が終わり、MRTなどが開通すれば、またジャカルタに人が戻ってくるかもしれません。

進む日系飲食チェーン店の展開

ー 現在インドネシアでは大手日系飲食チェーン店の進出が続いていますが、これはどのような背景なのでしょうか。

インドネシアの市場自体が成長しているということだと思います。近年ではお店の在り方が変わっていっています。昔はお店にお得意のお客さんがつくものでした。お店はお得意さんから食べたい日本食のリクエストに応えていくうちに、メニューを増やしていきました。実際に古くからある日本食のお店はメニューの数が多くなっています。

ー 確かに古くからあるお店に行けば、ラーメンや焼き鳥、お好み焼きまでメニューに書いてあります。

昔はインドネシアにいる日本人が多くなかったために、様々な料理を提供しないと十分な売上を出すことができなかったのです。しかし近年ではうどん専門店である『丸亀うどん』が人気を博しているなど、「うどん」や「焼き鳥」、「ラーメン」といった、ある料理に特化した専門店の進出が進んでいます。専門店でも店舗を拡大していけるようになったのは、市場自体が成長し、需要そのものが大きくなっているからだと思います。今後は「うどんならここ!やきとりならここ!」といった専門店による住み分けが進んでいくでしょう。

ニーズの分析が出店成功の鍵

ー 市場が成長しているという大きな流れの中で、近年でも日本から進出しすぐに撤退してしまった飲食店もありました。今後インドネシアではどのようなお店が成功していくでしょうか。

ターゲットとなる客層を明確にし、それをしっかり分析しているお店だと思います。タイやシンガポールでうまくいっているお店がインドネシアに進出してもうまくいかないというケースが多くあります。これはインドネシアがムスリムの国であることを気にしすぎている結果であるように思います。例えば、ムスリムの国だから全くお酒を置かないようにしたけど、実際はムスリムであっても若い人はお酒を飲んだりする。最近ではハラル認証の話も多く出るけれど、ハラル認証を取ったからと行って売上が伸びるという話でもない。インドネシアという国を、イメージではなくしっかりと実情に沿って捉えることが重要だと思います。

後編では竹谷氏の経営するお店の人気の秘密や、経営者としての考え方について伺いました。

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